そこは、20年も前に放棄された、廃墟の町。
イース=カリィオード中佐率いる第12ASB大隊は、
ボロボロで人気のないダウンタウンの中を進軍していた。
彼らの敵は、たった1人。
ただそれだけの相手を倒すため、イースは大勢の部下を引き連れて進む。
『センサーにSB粒子反応! 13時方向、距離800メートル!』
「おいおい、いきなりバニッシュブラストかよぉ!?」
「勘弁してくれぇ、ダンナァ………」
「総員っ、対ショック姿勢っ!!」
閃光と同時に、町を激震が襲う。
「勘弁してくれっ、俺はまだ死にたかねえぞぉっ!!」
周囲の建物が吹き飛ぶ中、兵達はただ祈りながら身を伏せていた。
やがて、再び静寂を取り戻した闇の中で、彼らは口々に安堵の声を漏らした。
「は、はずれたっ!?」
「けどよ、無事には済んだが………生きた心地がしねえ………」
「まったくだ………まるで容赦なしだぜ………」
そこに、戦術支援コンピュータを通じて、オペレーターから通信が届く。
『中佐、目標を発見しました』
「よくやった」
画面に送られてきた男の姿を確かめる。
年齢はイースと同じ、40代に見えた。
その大柄な体は装甲服に包まれ、胸部装甲には15個の勲章が並ぶ。
幾多の戦場において多くの武勲をあげた、歴戦の勇者である証だった。
男は、小さなビルの屋上に立ち、町を見下ろしていた。
その姿を確認したイースは、部下達に命令を下した。
「総員、戦闘態勢。ここからは一瞬も気を抜くな。敵は地球最強の男なんだからな」