七夏ちゃんは壇上に立ち、講堂のみなに向けて演説をしていた。
七夏「みんな、一年前の状況を覚えてるっ?」
七夏「AGバトルにおいて、戦えば西学に負ける日々――」
七夏「我らが東学にかけられるべき予算は削られ、ボロボロの設備にあえぐ黒歴史っ!」
七夏「そんな時代に戻りたいっ!?」
演説のさなか、七夏ちゃんが大きく腕を振るった。
すると、学園生たちの間から「ノーっ!!」の大音声があがる。
七夏「そうっ、もう今はあんな時代と違うっ!」
七夏「今年は自前のプールで水泳ができたし、冬には新しい体育館も使用可能になる予定っ!」
七夏「学食のメニューは質もあがって充実し、西学でさえ取り扱ってないパスタも加わった!」
七夏「日替わりパスタを好んで食べてる人は、手をあげてっ!」
言いながら、壇上の七夏ちゃん自身が真っ先に手をあげる。
ビシッと、音に聞こえそうなほどに勢いある挙手。
それに釣られるように、講堂の学園生たちからもかなりの数の手があがった。
七夏ちゃんは、挙手した腕をさらに大上段に振り上げ、言葉を続ける。
七夏「さあ、次はどこに手を入れたいっ? まだまだ不便な設備は残ってるわよねっ?」
七夏「なんだっていいわ、望んで努力すればそれが叶うっ!」
七夏「それがこれからの、我らが東栄峰学園のあるべき姿っ!」
壇上で腕を振るい、七夏ちゃんは皆の心をつかんでいく。
その姿は、あたかも舞台の上で観客の魂を揺さぶる演技を見せる役者のよう。
七夏「敗北主義者は馬に蹴られて、あさってへまで飛んで行けっ!」
学園生たち「おおおおおおぉぉぉぉぉぉーーっ!」
講堂に、みなの歓声が響き渡った。