才華「どなたともお付き合いされてないのでしたら、遠慮はいりませんわよね……」
すぐ間近に、ぼくを車内に連れ込んだ張本人である才華さんの顔があった。
どこか、狂気に染まったような目を向けてきてて、凄く怖い。
い、一体何を――っ!?
才華「ああっ、もうっ♪ 天野さん、可愛すぎですわっ♪」
て、え、え、え、ええーっ!?
気が付くとぼくは才華さんの腕の中に収まって、思いっ切り抱き締められてた。
ゆうき「いや、え、あの、才華さ――もぶっ」
声をあげかけた所、より一層強く抱き締められ、発言を中断させられる。
才華「可愛いっ♪ 可愛いっ♪ 可愛いっ♪」
ゆうき「もぎゅっ、ぷっ、むぐっ」
顔面を挟んでる胸は大きくて、その柔らかい感触が、男の子としては天にも昇るような気分なんだけどっ。
口と鼻が胸の谷間に挟まれてるせいで、息っ、息が出来ないっ。
ていうか、痛っ、痛いっ! 抱き締められてる背中の骨が、なんかミシミシいってるっ!
な、何この力っ! 瑠璃ちゃんほどじゃないけど、普通の女の子が出していい力じゃないと思うっ!
才華「七夏さんの恋人とかでしたら、人の道に外れると思って我慢してましたけれどっ♪」
ゆうき「は、はいっ?」
才華「フリーでしたら、こういう事は誰にも気兼ねなくできますわよねっ♪」
あのっ、ぼく自身っ! ぼく自身に気兼ねして、才華さんーっ!