アクアポリス
行政庁長官
『AQUAPOLICE』の行政組織である『アクアポリス行政庁(APPO――AQUAPOLICE Political Office)』の長。
『AQUAPOLICE』に市民権と選挙権を持つ18歳以上の男女による直接選挙で選ばれる。
作中でその地位にあるのは、初代長官である『オレアナ・エインズレイ』である。
当初は『AQUAPOLICE』の完成と同時に息を引き取った『Sir Spencer Lloydmace』の後継者として、
(国際共同プロジェクトとは言え)国連管理下の一特別行政区の現場責任者程度の存在でしかなかった彼女だが、
『大融解』が起こり『AQUAPOLICE』以外の全てが海没した後では、期せずして滅亡寸前の人類を率いる指導者となった。
『AQUAPOLICE』には立法機関としての『市民議会』も存在するが、『大融解』後は『行政庁長官』に非常事態権限が与えられているため、
助言機関のような存在になっている。
『行政庁長官・首席補佐官』を筆頭に、『安全保障』『市民行政』『食料生産』などの各分野の専門家が補佐官として補佐している。
情報部
『アクアポリス自衛軍(ASDF-AQUAPOLICE Self Defense Force)』内の一部局で、第一課から第四課まである。
『情報部』と名乗っているが、『AQUAPOLICE』以外の人類が滅亡してしまった2039年では、
その任務は『SPOOK』の正体を分析し、対応策を練ることである。
だが、元々各国海軍の生き残り『艦艇』の寄せ集めでしかない『ASDF』では、『艦隊勤務』の経験しかない将兵がほとんどであり、
『宇宙飛来種』の分析などは専門外なため、その任務のほとんどを元から『AQUAPOLICE』にいた民間の生物学者たちに任せきっている。
(『AQUAPOLICE』はその性格上、海洋生物学者を始めとする研究者が多数存在していた)
ABN
『AQUAPOLICE』唯一のTV局である『AQUAPOLICE BROADBAND NEWS』。
ケイトやオーサーはここに所属している。
癇癪持ちの報道部長が指揮を執っており、スポンサーである『APPO』におもねる報道を命令してくる局上層部と、しばしば対立している。
開局に当たっては、人類初の自走式巨大海上アーコロジー内のTV局ということで、世界中のジャーナリストが参加を希望し、
所属する局員の選考は厳しい競争となり、結果として優秀な人材が集まった(どこにでも一部例外はいるが)。
ちなみに『ABN』に参加する以前、ケイトは新進気鋭の女性戦場リポーターとして名前を上げつつあり、
オーサーに至ってはピューリッツァー賞を受賞したほどの名カメラマンである。
アクアポリス自衛軍(ASDF)
ASDF。
AQUAPOLICE Self Defense Force。
『アクアポリス・セルフ・ディフェンス・フォース』
『SPOOK』から『AQUAPOLICE』を守る自衛軍。
『大融解』を生き残った各国の軍隊(主に海軍)を再編成して作られた。
強襲揚陸艦『Makin Island』に搭乗していた海兵隊員が小数の陸上兵器と共に、『AQUAPOLICE CITY』にも駐留している。
総人員数(予備役、後方支援要員を含める)、約30000人。
最高司令官は、文民統制上『行政庁長官』である『オレアナ・エインズレイ』が務める。
元々が各国海軍の生き残り『艦艇』の寄せ集めであり、『上部統制組織』および『後方支援組織』が『全く存在しなかった』欠陥軍隊である。
幸いにして海上海軍工廠である『Habbakuk』との合流に成功したため、艦隊の整備はなんとか行えているが、
『上部統制組織』である『ASDF総司令部』は、艦隊の余剰人員を以って構成されており、貧弱な組織力しか持っておらず、
総参謀長である『ベレスフォード』中将の強力な統率力がなければ艦隊の指揮・統制も覚束ない。
(『ベレスフォード』中将は、『大融解』前までは空母『Barack H Obama』を旗艦とする『空母打撃群』の司令官であり、
艦隊勤務に就く将兵の気持ちは誰よりも理解している)
アクアポリス護衛艦隊
『大融解』後、各国海軍の生き残りの艦船を集結、再編成した『AQUAPOLICE』の護衛艦隊。
以下、構成艦艇。
- 原子力空母『バラク・H・オバマ(Barack H Obama)』ASDF-001-CVN
- 通常動力型空母『クィーン・エリザベス(Queen Elizabeth)』ASDF-002-CV
- 航空護衛艦『ソウリュウ(SOURYU)』(空母)ASDF-003-CV
- 強襲揚陸艦『マキン・アイランド(Makin Island)』ASDF-004-LHD
- イージス巡洋艦『タイコンデロガVI(TiconderogaVI)』ASDF-005-DDG
- イージス護衛艦『フソウ(FUSOU)』ASDF-006-DDG
- イージス駆逐艦『マイケル・マーフィー(Michael Murphy)』ASDF-007-DDG
- イージス駆逐艦『ハルゼー(Halsey)』ASDF-008-DDG
- イージス駆逐艦『ユリシーズ(Ulysses)』ASDF-009-DDG
F-35GスーパーライトニングII 84機
F-35HスーパーライトニングII複座型 36機
EF-35IスーパーライトニングII電子戦機 13機
E-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機 13機
C2-グレイハウンド輸送機 5機
MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 20機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 22機
AH-64Hシーアパッチ 8機
MV-22EオスプレイII 2機
CH-53G スーパースタリオンII 8機
UH-1Yヴェノム 6機
艦載機数(補用) 各機種若干。
『SPOOK』の脅威から『AQUAPOLICE』を守り続けている実戦実働部隊。
その内実は、『大融解』を潜り抜けた各国海軍の生き残り艦艇を集めて、再編成した急ごしらえの艦隊である。
概要だけ見ると、なかなかに充実した戦力を保有しているように思えるが、『AQUAPOLICE』には消耗した機材や弾薬を再生産する能力はなく、
『SPOOK』による襲撃が繰り返される度に、ジリジリと消耗しているが実情である。
シュウや涼子が所属し、シンやりさはこの艦隊の予備搭乗員としての訓練を受けている。
シュウ曰わく、『AQUAPOLICE』とそこで生活する人々を守る『壁』。
アクアポリス行政庁
『AQUAPOLICE』の行政と運営を司る組織の拠点。
『AQUAPOLICE Political Office』――通称『APPO』。
人類が『AQUAPOLICE』を除いて絶滅してしまったために、この『APPO』が今や人類の代表機関である。
シンの両親は、この『AQUAPOLICE』で最も効率的に生産が可能な『小麦』その他の穀物を創り出すために招聘された、バイオ農業の権威である。
また未来や尾身の両親はこの『APPO』の上級職員であり、優秀なテクノクラートとして、
組織のトップである女性行政庁長官『オレアナ・エインズレイ』を補佐している。
本来『AQUAPOLICE』がその生産力で養える人口は3万人が限度であるが、
『大融解』以降、軍民合わせて7万人の『救助民』を抱え込んでおり、食料その他の物資事情は逼迫している。
加えて、宇宙飛来種『SPOOK』の頻繁な襲撃に晒され、『AQUAPOLICE』は『爪先立ちの生存』を余儀なくされている。
市民に対する行政サービスを行う『市民局』を中心に、『食料生産局』や『物資生産局』『環境生物部』などの複数の部局がある。
またその地下深くには、『AQUAPOLICE』を運航を司る『運航局』が管理する最重要施設『中央制御室』がある。
ロイドメイス記念総合学園
シンや未来が通っている学校。
校名は、『AQUAPOLICE』を建造した中心人物の名前から採られた。
プライマリ部からカレッジ部までの全ての教育がここで受けられる、総合教育機関。
しかし『大融解』を経て、宇宙外来種『SPOOK』による襲撃に晒されるようになってからは、
戦闘機の操縦訓練や病院や各種プラントでの実習などがカリキュラムに加えられ、
平和だった学園の空気は『戦時態勢』に塗り替えられた。
午前中の一般教養授業が終わると、生徒たちはそれぞれに課せられた専門技能を身につけるために『AQUAPOLICE』の各所に散っていく。
セントラル・ホスピタル
Central Hospital。
『AQUAPOLICE CITY』に存在する巨大な『総合病院』。
最先端の医療設備が整っており、院長は『ジェラルド・ニールストレーム』が務める。
シンやりさのように戦闘機搭乗員としての適性がなかった未来は、ここで看護師見習いとしての訓練を受け、高い評価を得た。
セントラルベース
『Central Base』と呼ばれる、『AQUAPOLICE』上に設けられた『ASDF』の陸上基地。その滑走路。
元々『AQUAPOLICE』の空の玄関口だったが、
『大融解』が起きて以降『ASDF』に接収され、陸上基地として整備された。
『ASDF』には4隻(うち1隻は強襲揚陸艦)の空母があり、
通常その内の1隻は『Habbakuk』にあるドッグに入渠し整備を受けている。
その際、搭載されている飛行隊はこの『Central Base』に陸揚げされて、ここから作戦行動を採る。
シュウと涼子も、母艦である『Barack H Obama』がドッグ入りをしているときは、ここから発進して『SPOOK』を迎撃している。
また、シンやりさが戦闘機の搭乗訓練を受けているのも、この基地である。
救助民街
『大融解』以後に『AQUAPOLICE』に救助された、いわゆる『救助民』が暮らしている『仮設住宅街』。
非公式に『救助民街』、あるいは『下の街』と呼ばれている。
『AQUAPOLICE CITY』地下の予備プラントスペースに造られており、地下であるため、『CITY』の住民のように日光を浴びることができない。
また急ごしらえの街であるため、設備的にも衛生的にも、計画的に整備された『上の街(CITY)』とは比べものにならない。
劣悪とは言わないまでも、かなり厳しい生活環境である。
この、元からの住人との間に発生している明かな『格差』が、『市民』と『救助民』の間に徐々に不穏な空気と対立感情を生み出している。
りさはこの街から家族を連れ出すために、予備搭乗員になる決心をした。
緑地公園
『居住ドーム(AQUAPOLICE CITY)』の4分の1の面積に及ぶ、緑地公園。
閉塞された空間で生活する住人のリラクゼーションのためだけでなく、
ドーム内の空気を浄化するためにも非常に重要な場所だが、
地下の予備プラントスペースに押し込められた恰好となっている『救助民』からは、
この緑地を潰して新しい住宅地を作って欲しいとの要望が『行政庁』に出されている。
もちろん、元から『AQUAPOLICE CITY』に暮らしている住人からすればそんな要望はもってのほかであり、
大融解』後に救助された人々との間で軋轢の種となっている。
アクアポリス防空隊
ブラック・クーガー中隊
戦闘攻撃飛行隊『ブラック・クーガー』。
VFA-101 Squadron 『BLACK COUGAR』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
いわゆる『アクアポリス防空隊』の中核部隊であり、主人公の兄のシュウが所属、編隊長を務めている。
1個飛行隊12機で編成されており、すべて最新鋭の『F-40A』を装備している。
シンボルマークは『黒い豹』。
他にも『Barack H Obama』には『F-40A』を装備した飛行隊がもう1隊あり、『ホワイト・ファング(WHITE FANG)』と名付けられている。
(これは同一機種を装備する飛行隊を2つ用意し、互いに競わせるアメリカ海軍の運用法のためである)。
第一小隊、シュウ(編隊長)、タックネーム『ランサー(Lancer)』(COUGAR 01)
涼子、タックネーム『ミネルバ(Minerva)』(COUGAR 02)
『スラッガー(Slugger)』(COUGAR 03)
『サンダー(Thunder)』(COUGAR 04)
第二小隊『ハーレー(Harley)』(COUGAR 05)
『ポリス(Police)』(COUGAR 06)
『スペード(Spade)』(COUGAR 07)
『ピクシー(Pixie)』(COUGAR 08)
第三小隊『ゴルフ(Golf)』(COUGAR 09)
『タイタン(Taitan)』(COUGAR 10)
『ウィスキー(Whisky)』(COUGAR 11)
『ポパイ(Popeye)』(COUGAR 12)
アメリカ海軍で初めて、最新鋭機『F-40A』を装備したVFA-戦闘攻撃飛行隊。
シュウと涼子が所属しているのは、この飛行隊である。
戦闘攻撃飛行隊を現す『VFA』の略称のうち、『F』は要撃・空中戦を主任務とする戦闘を意味する『FIGHTER』の頭文字、
『A』は対地・対艦攻撃を主任務とする攻撃を意味する『ATTACKER』の頭文字である。
『V』は『広げた翼』を意味するシンボルマークから来ており『飛行隊』を意味する。
以前の主力戦闘機『F-14 TOMCAT』は、対地・対艦攻撃力を持たない要撃専門の機体だったので、その飛行隊の略称は『VF』だった。
(決して、『VARIABLE FIGHTER(可変戦闘機)』の略ではない)
ホワイト・ファング隊
戦闘攻撃飛行隊『ホワイト・ファング』。
VFA-102 Squadron 『WHITE FANG』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
『BLACK COUGAR』同様、最新鋭艦上戦闘攻撃機『F-40A PUSSYCAT』を装備する『VFA(戦闘攻撃飛行隊)』。
『BLACK COUGAR』とはお互いに戦果を競い合う良きライバルである。
シンボルマークは『白い狼』。
ブルー・アリス隊
戦闘攻撃飛行隊『ブルー・アリス』。
VFA-103 Squadron 『BLUE ALICE』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
単座型の『F-35G Super LightningII』を装備する『VFA(戦闘攻撃飛行隊)』。
シンボルマークは『青い少女』。
(ルイス・キャロルの『Alice's Adventures in Wonderland』からとられたと思われる)
レッド・クイーン隊
戦闘攻撃飛行隊『レッド・クィーン』。
VFA-104 Squadron 『RED QUEEN』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
複座型の『F-35H Super LightningII』を装備する『VFA(戦闘攻撃飛行隊)』。
シンボルマークは『赤い女王』。
(ルイス・キャロルの『Alice's Adventures in Wonderland』からとられたと思われる)
シンボルマークが示すとおり、VFA-103『BLUE ALICE』のライバル飛行隊である。
シルバー・ジャッカル隊
電子攻撃飛行隊『シルバー・ジャッカル』。
VAQ-105 Squadron 『SILVER JACKAL』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
電子戦用の『EF-35I Super LightningII』を装備する『VAQ(電子攻撃飛行隊)』。
敵機、または敵施設のレーダーを妨害し、また対レーダーミサイルで敵のレーダーその物を破壊することを任務とする飛行隊。
敵地への侵攻作戦においては、味方の損害を減らすために、とりわけ重要な飛行隊である。
パープル・アイズ隊
警戒飛行隊『パープル・アイズ』。
VAW-106 Squadron 『PURPLE EYES』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
『E-2D Advanced Hawkeye』を装備する『VAW(警戒飛行隊)』。
空中早期警戒機を用いて『AQUAPOLICE』の外周を監視する任務を担う、艦隊の目。
シンボルマークは、『紫の目』をした鷹。
ゴールデン・フォックス隊
艦隊兵站輸送分遣隊『ゴールデン・フォックス』。
VRC-107 Squadron 『GOLDEN FOX』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
『C-2 GREYHOUND』艦上輸送機を装備する『VRC(艦隊兵站輸送分遣隊)』。
『Barack H Obama』と『AQUAPOLICE』の陸上基地『Central Base』の間で、物資および人員を輸送している飛行隊。
シンボルマークは、『金色の狐』。
(これは狩りの名手である狐は、いつでも巣に餌を持ち帰ってくるから――の意味で付けられた)
物資と人員の輸送という、地味ながらも重要な役割を担っている飛行隊である。
オレンジ・ドルフィン隊
対潜ヘリコプター飛行隊『オレンジ・ドルフィン』。
HS-108 Squadron 『ORANGE DOLPHIN』。
原子力空母『Barack H Obama』を母艦とする飛行隊。
対潜・対水上ヘリコプターである『MH-60V SeahawkII』と、
救難・捜索・輸送ヘリコプターである『MH-60W NighthawkII』で編成されている、
『Barack H Obama』で唯一ヘリコプターを運用する飛行隊。
シンボルマークは、『オレンジ色のイルカ』。
対潜哨戒および攻撃、味方機に墜落機が出た場合の救難捜索、近距離への輸送任務と、多岐にわたる重要な任務を担っている。
call sign『DOLPHIN 01』から『DOLPHIN 06』までが、『SeahawkII』を装備して対潜・対水上作戦を担当し、
call sign『DOLPHIN 07』から『DOLPHIN 12』までが、『NighthawkII』を装備して主に救難・捜索・輸送任務を担当する。
シー・ラファエル隊
戦闘攻撃飛行隊『シー・ラファエル』。
VFA-201 Squadron 『SEA RAPHAEL』。
空母『Queen Elizabeth』を母艦とする飛行隊。
単座型の『F-35G Super LightningII』を装備する『VFA(戦闘攻撃飛行隊)』。
シンボルマークは、大天使ラファエルをイメージした『白い翼を生やしたF-35』。
バトル・エンゼル隊
戦闘攻撃飛行隊『バトル・エンゼル』。
VFA-301 Squadron 『BATTLE ANGEL』。
空母『SOURYU』を母艦とする飛行隊。
単座型の『F-35G Super LightningII』を装備する『VFA(戦闘攻撃飛行隊)』。
シンボルマークは、『剣と盾を持った天使』。
かつてはシュウと涼子が所属していた海上自衛隊の飛行隊。
ダンシング・フェアリー隊
戦闘攻撃飛行隊『ダンシング・フェアリー』。
VFA-302 Squadron 『DANCING FAIRLY』。
空母『SOURYU』を母艦とする飛行隊。
単座型の『F-35G Super LightningII』を装備する『VFA(戦闘攻撃飛行隊)』。
シンボルマークは、『軽やかにステップを踏む妖精』。
モンスター隊
Squadron 『MONSTER』。
『ASDF』の奥の手、切り札と呼ばれているが……
サンダーアーム隊
Squadron 『THUNDER ARM』。
強襲揚陸艦『Makin Island』所属の、『CH-53G Super StallionII』を装備するヘリコプター部隊。
『CH-53G Super StallionII』は大型かつ強力な輸送ヘリコプターで、
このうちの1機が『行政庁長官』の専用機とされており、
『オレアナ・エインズレイ』が搭乗する際は『ASDF 01』のcall signを与えられる。
シンボルマークは、北欧神話に登場する『雷神トール』。
『サンダーアーム』とは、文字どおり彼の『腕』のことである。
機体名
F-40A プッシーキャット
『F-40A PUSSY CAT』
統合打撃戦闘機。
通称『エフ・フォーティ』。
いわゆる『ハイ・ロー・ミックス』のハイ。
『Barack H Obama』所属のエリート部隊『BLACK COUGAR』と『WHITE FANG』にのみ配備されている、
『ノースロップ・グラマン』の最新、そして最後のキャットシリーズ(艦上戦闘機)。
ロッキード・マーチンの『F-22』とのコンペに負けた雪辱を果たすために開発された。
そのため、デザインは『YF-23』をベースに発展させたものになっている。
『GE・アビエーション』社製のF220ジェットエンジンを2機搭載。
武装、アクティブレーダー中距離誘導ミサイル、『AIM-120F・FMRAAM』×6
赤外線誘導短距離ミサイル、『AIM-9Z・SideWinder 』×2
25mm航空機関砲『イコライザー』×1
生意気で傲慢な、極上の『かわい娘』ちゃん。
F-35G スーパーライトニングII
『F-35G Super LightningII』
統合打撃戦闘機。
いわゆる『ハイ・ロー・ミックス』のロー。
『BLACK COUGAR』『WHITE FANG』以外のVFA(戦闘攻撃飛行隊)が装備、運用している。
『F-35ライトニングII』の最終発展系。
新素材である『改良型カーボン・ナノ・チューブ(ニュー・カーボン・ナノ・チューブ)』の採用により、
大幅な機体の軽量化に成功し、垂直離着陸仕様のB型と航空母艦運用仕様のC型の統合を成功した。
B型とC型、双方の長所を持っており、更にB型&C型になかった航空機関砲も搭載されている。
F-35H スーパーライトニングII複座型
『F-35H Super LightningII』
統合打撃戦闘機。
『F-35G スーパーライトニングII』を複座型にしたもの。
空中給油用バディポッド(A/A42R-1)を搭載して、タンカー(空中給油機)になる。
EF-35IライトニングII電子戦仕様
『EF-35 LightningII』
電子戦機(ELECTRONIC FIGHTER)。
『EA-18Gグラウラー』の退役に伴い、初期型の『F-35H』を電子戦用に改造した機体。
広々域電子作戦機。
ECMを掛けて、敵の探知装置を麻痺させる。
また対レーダーミサイルを搭載して、敵のレーダー施設を制圧する機体。
通称『グラップラー』。
E-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機
『E-2D Advanced Hawkeye』。
『E-2Cホークアイ早期警戒機』の改良型。
西暦2040年の時点ではかなり古い機体。
後継機の開発が進んでいたが、『大融解』でご破算になった。
『Barack H Obama』『Queen Elizabeth』『SOURYU』の3隻の空母で運用されている。
空中から迫り来る『SPOOK』を監視する『鷹の目』。
MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター
『MH-60V SeahawkII』。
空母および巡洋艦&駆逐艦に搭載さている、対潜・対水上戦用ヘリコプター。
西暦2010年代の現用機である『MH-60Rシーホーク』の発展延命型。
主に海中から襲い来る『SPOOK』の広域哨戒探知&攻撃任務を受け持つ。
固定翼機である『S-3 VIKING』艦上対潜哨戒機が退役したあとは、この『Seahawk』が長年にわたって対潜作戦の中核を担ってきた。
元になった機体は、『ブラックホーク・ダウン』で有名な陸軍用の『UH-60 BlackHawk』。
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター
AH-64Hシーアパッチ
『AH-64H SeaApache』
強襲揚陸艦『Makin Island』にのみ搭載されている、攻撃ヘリコプター。
『AH-1Zバイパー』の後継機。
『AH-64D アパッチ・ロングボウ』を海兵隊仕様に改造した機体。
MV-22EオスプレイII
『MV-22E Osprey』。
強襲揚陸艦『Makin Island』にのみ搭載されている、ティルトローター機。
V22の海兵隊用輸送機仕様。
現用機である『MV-22Bオスプレイ』の発展延命型。
プロペラと主翼を90°回転させることで、ヘリコプターと航空機の両方の特徴を持つ機体。
実戦配備される前段階の試用試験では、その特異な機体構造から何度か墜落事故を起こしたが、
問題が解決され、操縦士が機体の扱いに慣れてからは、有用な機体となった。
CH-53GスーパースタリオンII
『CH-53G Super StallionII』。
強襲揚陸艦『Makin Island』にのみ搭載されている、重輸送用大型ヘリコプター。
現用機である『CH-53E スーパースタリオン』の発展延命型。
乗員2名。
兵員37名を輸送可能。
『AQUAPOLICE』に存在する機体のうち1機が『アクアポリス行政庁長官』の専用機とされており、
『オレアナ・エインズレイ』の搭乗時には『ASDF 01』のcall signを与えられる。
UH-1Yヴェノム
『UH-1Y Venom』。
強襲揚陸艦『Makin Island』にのみ搭載されている、輸送用中型ヘリコプター。
2009年から使用されている機種であり、西暦2040年代が近づく本編中でも、老巧化しつつもその使い勝手の良さからまだまだ現役を誇る名機。
元となった『UH-1N』の運用開始は1970年であるから、改修を施されながらなんと70年も使用されていることになる。
乗員1~4名。
兵員14名を輸送可能。
C-2グレイハウンド輸送機
『C-2 GREYHOUND』。
搭載量:4.536トン。
航続距離:2,889km。
乗員:3 (操縦士 2名、航空機関士1名)
陸上基地と洋上の艦隊の間で、物資人員を空輸するための艦上輸送機。
『ASDF』では『Barack H Obama』に搭載されており、ヘリでは距離がある場合や積み荷が多い場合などに使われていた。
B-1R爆撃機ランサー改
『B-1R LANCER CUSTOM』
戦略爆撃機『B-52』の後継機であり、敵地への超音速での侵攻&核攻撃用に開発された機体。
しかし、ICBM(戦略弾道ミサイル)の進歩や冷戦の終結によって、その役目は終わり、
現在はその高速性能を利用して『緊急近接支援』用の機体として使われている。
量の『B-52』、質の『B-2(ステルス爆撃機)』の間で、運用法が度々変わった機体。
『B-1R』はその中でも『空中制圧機』として特化・改造された機体である。
中距離空対空ミサイル『FMRAAM』を1機あたり20発を搭載し、
高速性能と長大な航続距離を利用して空中戦が行われている空域へ急行、その外縁を周回して、
要請があり次第、搭載している大量のミサイルで『飽和攻撃』を行い、戦闘空域を制圧する。
アクアポリス護衛艦隊
ASDF-001-CVN『バラク・H・オバマ(Barack H Obama)』
元アメリカ海軍所属の原子力空母。
『ジェラルド・R・フォード級航空母艦』の4番艦。
旧CVN-81(甲板番号81)。
シュウが所属する『ブラック・クーガー隊』の母艦で『アクアポリス護衛艦隊』の旗艦。
2030年、『バラク・H・オバマ』の就役に伴い再編成された、旧アメリカ海軍のCVW-10(第10空母航空兵団)を搭載する。
開発コード『CVN-X』、『CVN-21』。21世紀型の新世代空母。
新型原子炉および発電システムを装備しており、前世代艦であるニミッツ級の3倍の電力を発電可能。
新型の電磁カタパルトを装備しており、15分で30機の航空機を発艦できる。
従来のニミッツ級は、蒸気カタパルトで、15分で25機)。
全長333m。
アングルドデッキの長さは約200m。
満載排水量10万2000t。
パッシブ・ジェット・ブラスト・デフレクター装備。
艦隊統合の情報共有システム『フォースネット』の中心。
開発費56億ドル。建造費80億ドル(ニミッツ級の最終艦が、約50億ドル)。
長期にわたる戦闘力の維持を目的としているため居住性が高く、女性乗組員に対する気遣いもされている。
男女共通区画を通らずに、居室からトイレやシャワールームに行ける。
住居風の居住スペースを持つ。(つまり家の中のような居住施設)
操艦人員(2,180人)
航空要員(2,480人程度を想定)
総乗員 (4,660人)
愛称は『BIG O』(ビッグ・オー)
呼び出し符丁(コールサイン)は、CDCが『GREAT AXE』
STRIKEは『FALCON』
DEPARTURE(APPROACH)は『SHADOW MOON』
搭載機 旧アメリカ海軍CVW-10(第10空母航空兵団)
F-40Aプッシーキャット 24機
VFA-戦闘攻撃飛行隊(12機×2個飛行隊)
(ブラック・クーガー)(ホワイト・ファング)
F-35GスーパーライトニングII 12機
VFA-戦闘攻撃飛行隊(12機×1個飛行隊)
(ブルー・アリス)
F-35HスーパーライトニングII複座型 12機
VFA-戦闘攻撃飛行隊(12機×1個飛行隊)
(レッド・クィーン)
EF-35IスーパーライトニングII電子戦機 5機
VAQ-電子攻撃飛行隊(5機×1飛行隊)
(シルバー・ジャッカル)
E-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機 5機
VAW-警戒飛行隊(5機×1飛行隊)
(パープル・アイズ)
C-2グレイハウンド輸送機 6機
VRC-艦隊兵站輸送飛行分遣隊(6機×1飛行隊)
(ゴールデン・フォックス)
MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 6機
HS-対潜ヘリコプター飛行隊(シーナイトと合わせて12機で1飛行隊)
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 6機
HS-対潜ヘリコプター飛行隊(シーホークと合わせて12機で1飛行隊)
(オレンジ・ドルフィン)
シュウや涼子たちの所属する母艦。
シュウと涼子はまだ『大融解』が起こる以前、海上自衛隊の航空戦術士だった頃、
海自の空母に最新鋭機『F-40A PUSSYCAT』を導入するための調査ならびに研修として、この艦に派遣されていた。
そしてその研修中に『大融解』が起こり、『ASDF』が編成されるに当たって、そのままこの艦の乗り組み員となったのである。
ASDF-002-CV『クィーン・エリザベス(Queen Elizabeth)
元イギリス海軍所属の通常動力型正規空母。
『クィーン・エリザベス級航空母艦』のネームシップ、1番艦。
『惑星高温化現象』による大津波を生き残り、『アクアポリス護衛艦隊』に編入。
全長284m。
満載排水量6万5000t。
操艦人員(1,450人)
航空要員(600人)
総乗員 (約2,000~2100人)
愛称は『LIZZY』。
搭載機 F-35GスーパーライトニングII 24機
(シー・ラファエル)
F-35HスーパーライトニングII複座型 12機
EF-35IスーパーライトニングII電子戦機 3機
E-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機 3機
MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 3機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 3機
2010年代半ばに就航した、イギリス海軍の新鋭大型空母。
外見上の特徴として、『航海・作戦用』と『航空管制用』の2つの『アイランド(艦橋)』がある。
アメリカの『Barack H Obama』、日本の『SOURYU』とトリオを組んで、『SPOOK』の襲撃から『AQUAPOLICE』を守り続けている。
ASDF-003-CV『ソウリュウ(SOURYU)』
元日本海上自衛隊所属の航空護衛艦(正規空母)。
『ソウリュウ級航空護衛艦』のネームシップ、1番艦。
日本が増大する中国の海軍力に対抗するために80年ぶりに建造した、本格空母。
甲板番号は『01』
専守防衛の立場から、航空機運用護衛艦、または航空護衛艦と呼ばれていた。
『惑星高温化現象』およびその後の『大融解』による大津波を生き残り、『アクアポリス護衛艦隊』に参加。
『ASDF』に参加したことで、晴れて空母『CV』を名乗れるようになった。
『Barack H Obama』には及ばないが、『Queen Elizabeth』を上回る、大型正規空母。
通常動力。
満載排水量8万9000t。
操艦人員(約3000人)
航空要員(約800人)
総乗員 (約3,800人)
愛称は『DRAGON』
呼び出し符丁は、CDCが『BROAD SWORD』
STRIKEは『BLACK KNIGHT』
DEPARTURE(APPROACH)は、『BLUE WAVE』
搭載機 F-35GスーパーライトニングII 36機
(12機×3個飛行隊)
(バトル・エンゼル)
F-35HスーパーライトニングII複座型 12機
(12機×1個飛行隊)
E-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機 5機
(5機×1個飛行隊)
EF-35IスーパーライトニングII電子戦機 5機
(5機×1個飛行隊)
MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 6機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 6機
(シーホーク・シーナイト合わせて12機×1飛行隊)
建造当初、航空自衛隊から艦載機のパイロットの募集・選抜を行ったために、海自と空自の間でかなりの軋轢があった。
それでも80年ぶりの『キャリアー・パイロット』には、想定を遙かに上回る応募があった。
専守防衛の建前から、当初空中給油装備はなかった。
船体の大きさの割に航空機の搭載数が少ないのは、専守防衛の建前と周辺国への『弱腰伝統』から、格納庫を二層式にできなかったためである。
このため、格納庫の天井の高さが14m近くになり、これは『Barack H Obama』の倍近い高さである。
ASDF-004-LHD『マキン・アイランド(Makin Island)』
元アメリカ海軍所属の強襲揚陸艦。
『ワスプ』級強襲揚陸艦の8番艦で、最後の艦。
強襲揚陸艦なので、1個大隊2000名規模の海兵隊員を搭載しており、それらの隊員が『AQUAPOLICE』内で防備に当たっている。
また戦車10輌、歩兵戦闘車25輛を搭載しており、アクアポリス内に戦車や戦闘車両、海兵隊員が存在するのはそのためである。
艦隊最古参の艦。
操艦人員(1.100人)
海兵隊員(2.000人)
総乗組員(3,100人)
搭載機 F-35GスーパーライトニングII 12機
AH-64Hシーアパッチ 8機
MV-22EオスプレイII 2機
CH-53G スーパースタリオンII 8機
UH-1Yヴェノム 6機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 2機
空母と似た艦形をしているが、上陸作戦を直接行う(また支援する)ための『強襲揚陸艦』である。
そのため、対『SPOOK』戦闘では大きな戦力となることは出来ず、
もっぱら搭載していた『海兵隊部隊』による『AQUAPOLICE CITY』内の防衛に、その価値を見出されている。
ASDF-005-DDG『タイコンデロガVI(TiconderogaVI)』
元アメリカ海軍所属のイージス駆逐艦。
『アーレイ・バーク』級のイージス駆逐艦の後継艦である『ズムウォルト』級イージス駆逐艦の1艦。
アメリカ海軍が2010年代の半ばより竣工を始めた、ミサイル駆逐艦。
『アーレイ・バーク』級に比べてよりステルス性が増した未来的艦形をしている。
『バラク・H・オバマ』と共に『大融解』を生き残り、『アクアポリス』に合流した。
総乗員 (310人)
搭載機 MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 1機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 1機
特徴的な艦形を持つ、ステルスイージス艦。
その優秀な探知&防空能力で、戦闘機隊が討ち漏らした『SPOOK』を迎撃する、『AQUAPOLICE』の最後の『盾』。
ASDF-006-DDG『フソウ(FUSOU)』(本作のみの架空艦艇)
元海上自衛隊所属のイージス護衛艦。
2030年代に建造されたため、比較的新しい艦艇。
『ソウリュウ』と共に『アクアポリス』に合流し、共に行動している。
総乗員 (280人)
搭載機 MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 1機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 1機
海上自衛隊の最新の護衛艦。
『ズムウォルト』級を参考に設計されているため、ステルス性の高い艦形をしている。
『大融解』時には『ソウリュウ(SOURYU)』と艦隊行動をとっていたため同時に生き残り、共に『AQUAPOLICE』合流した。
ASDF-007-DDG『マイケル・マーフィー(Michael Murphy)』
元アメリカ海軍所属の『アーレイ・バーク』級ミサイル駆逐艦の62番艦。
総乗員 (380人)
搭載機 MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 1機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 1機
『ズムウォルト』級ステルスイージス駆逐艦の1世代前の艦型。
同級の中で唯一『大融解』を生き残り、他のアメリカ海軍の僚艦と共に『ASDF』に編入された。
西暦2039年では非常に旧式な船だが、レーダー他の電子機器は最新型に更新されているので、
その探知・防空能力は侮れない。
ASDF-008-DDG『ハルゼー(Halsey)』
元アメリカ海軍所属のイージス駆逐艦。
『アーレイ・バーク』級の後継イージス駆逐艦『ズムウォルト』級の1隻。
『ハルゼー』という艦名だが、『アーレイ・バーク』級ではない。
オートメーション化が進んでおり、乗組員の数が減っている。
総乗員 (350人)
搭載機 MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 1機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 1機
『Ticonderoga IV』の同型艦であり、共に『大融解』を生き残り『AQUAPOLICE』に合流。『ASDF』に編入された。
ASDF-009-DDG『ユリシーズ(Ulysses)』(本作のみの架空艦艇)
元イギリス海軍所属のイージス駆逐艦。
D級駆逐艦の『後継艦』、その1隻。
総乗員 (200人)
搭載機 MH-60VシーホークII対潜・対水上ヘリコプター 1機
MH-60WナイトホークII救難・捜索・輸送ヘリコプター 1機
『大融解』時には、同海軍所属の空母『Queen Elizabeth』と行動を共にしており、同空母と共に『AQUAPOLICE』と合流、 後に『ASDF』が編成されるに及び、編入された。
『シーウルフ』
SEA WOLF。
元アメリカ海軍所属の攻撃型原子力潜水艦で、『シーウルフ』級のネームシップ、1番艦。
冷戦期の最後に、仮想敵国であったソビエト連邦の攻撃型原潜をあらゆる面で圧倒する高性能艦として計画・建造されたが、
ソ連の崩壊によって冷戦そのものが終結。
仮想敵国の消失と、オーバースペック(過剰性能)から来る建造費の高騰により、3隻のみの建造に留まった。
全長107.6m
全幅12.2m
排水量 水上7,460トン、水中9,150トン。
総乗員 (133人)
『大融解』を生き残り、『AQUAPOLICE』と合流できた唯一の潜水艦。
(その他の潜水艦は、常に単艦で行動する潜水艦特有の行動が裏目に出て、全て海中型『SPOOK』に各個撃破されてしまった)
『ASDF』に編入後は、『AQUAPOLICE』の前方に進出しての哨戒任務に就いている。
フューチャリアン
フューチャリアン
Futurians。
『未来人』。
『SPOOK』の脅威により滅亡寸前の人類に救いの手を差し伸べた、謎の存在。
メッセンジャーである『星海凪』の話によると、1万年後の未来で繁栄を遂げている人類直系の子孫らしい。
当然『惑星高温化現象』による第一次地球文明滅亡のことは知っており、
現在の人類を救うために凪と『Aerials』を過去の地球に送り込んでいた。
多くの謎に包まれた存在。
ドミナンス・マニピュレーター
Dominance Manipulator。
略称は『DM』(ディーエム、またはディム)。
直訳すると、戦術支配機。
『Futurians』が使用する、SEALS(SEがSEA(海)、AがAIR(空)、LがLAND(陸)、SがSpace(宙)
のいずれを問わず圧倒的な戦場支配力を発揮する戦術人型機動兵器。
全高10m~12m。
全備重量8t~12t。
必要搭乗員1~2名。
物質の対消滅を利用する反物質ドライブを主要動力として、その稼働時間はほぼ無制限。
汎用性を重視した『NDM(Normal Dominance Manipulator)』(通常、DMとはこの機体を指す)。
オプションを装備し、特殊な状況下での作戦行動を前提にした『ADM(Advanced Dominance Manipulator)』。
そして最新型の『EDM(Elemental Dominance Manipulator)の3種類に分類される。
基本的な操作は、生体カプラであるドライバーシートを通じた、思考操作で行う。
エレメンタル・ドミナンス・マニピュレーター
Elemental Dominance Manipulator
略称は『EDM』(エディム)。
元素融合型戦術支配機。
第13世代型に分類される、最新型のドミナンス・マニピュレーター。
対消滅を利用した反物質ドライブ搭載の従来機を遙かに上回る、最新型のドミナンス・マニピュレーター。
機体周囲に存在するあらゆる元素を機体に取り込み、無限の動力に換えて稼働する。
機体に吸収された各種元素は、『Daemon's Core』と呼ばれる反応炉で『精霊力』と通称されるエネルギーに変換される。
その力は1機で戦局を変えうることから、もはや『究極の兵器』『戦略支配機』とも呼ばれている。
現時点で存在が確認されているのは、星海凪が制御する『Aerials』の1機のみ。
アエリアル
Aerials
エレメンタル・ドミナンス・マニピュレーター(Elemental Dominance Manipulator)。
最新鋭の第13世代型に分類される最強のドミナンス・マニピュレーター(Dominance Manipulator)。
本作品の主人公機。
全高12.5m。
全備重量7.8t。
『星海凪』を生体認証キーとして、
機体に『バイオ・フュージョン(生体融合)』→『マインド・インストール(精神結合)』することで起動する。
人間の搭乗者の思考を深く理解するため、人間に模したOS『NAGI』を必要とする。
搭乗員が乗っていないときは、機体を周囲の元素に『分解・同化』させることで、文字通り『消え去る』ことが出来る。
これが『Aerials』と名付けられた由縁である。
(『アエリアル』とは、大気の中に住む目に見えない精霊たちのこと。特に強風や大嵐を起こして船を難破させる)
(必要があれば大気の中の元素を利用して体を作り、目に見える姿を現す事が出来る)
(シルフ、シルフィードの悪魔系の名前)
(Aerials――英語読みでは『エアリアル』)
従って凪が命令すれば、どこへでも『再構成』して現れることが可能。
搭乗員が乗り込むと、それらのことが不可能になる。
しかし、搭乗員から元素を吸収しその『精霊力』を利用できるため、各種性能が更に跳ね上がる。
主要兵装として、対空対地『精霊誘導弾』。
近接白兵用兵装、『Ether Dagger』。
他に、戦域制圧兵装として『γ-RAY BURST』照射装置。
防御兵装として、『AKASHIC FIELD』形成機構を持つ。
シルフィード
Sylpheed。
第12世代型に分類される『Normal Dominance Manipulator』。
『Aerials』の元となった機体で、『Aerials』はこの機体を元に開発された。
全高12m。
全備重量7.2t。
正式名称は『NDM-012-006C』シリーズ。
『Normal Dominance Manipulator』の『第12世代』の『6番目の正式採用機種』で『3回のマイナーチェンジ』を施された機体。
あらゆる状況下で運用可能な汎用性を重視して開発された機体で、
飛び抜けた性能はないものの、扱いやすく集団戦でのコストパフォーマンスが高い。
特殊な状況で作戦を行う場合は、オプション装備でカスタマイズ&チューニングされた各種『Advanced Dominance Manipulator』が引き継ぐ。
この『ADM』も『Sylpheed』から派生した機体である。
機体を稼働させている主機関は『物質の対消滅』を利用した『反物質ドライブ』であり、ほぼ無制限の稼働時間を誇るが、
『Daemon's Core』を搭載していないため、『Aerials』のような、いわゆる『精霊力』を利用した兵装は使用することができない。
『Aerials』と同じように、『生体カプラ』であるドライバーシートを通じた思考操作で機体を制御する。
搭載コンピューターは『clar』シリーズで、型番から通常は『CLARA』と名乗っている。
主要兵装は、中距離戦闘用兵装として『Pulses.Phasered.Rifle』。
近接白兵戦兵装、『Ether Dagger』形成装置。
防御兵装として、『対レーザーコーティング』が施された『SHIELD』を持つ。
スター・ノア
Star Noah。
凪の口から、わずかに漏れた言葉……
Heisenberg補正アルゴリズム
ハイゼンベルグ補正アルゴリズム。
物質を量子レベルに分解して極小のワームホールに送り込み、『越次元』した先で再構成させる際に問題になるのは、
量子の位置と運動量を同時には計測できないという『ハイゼンベルグの不確定性原理』である。
この問題を解決するために歴代の数理物理学者によっていくつかの不等式が証明され、
それらの不等式を元に量子の位置と運動量を正確に測定するアルゴリズムとして完成させたのが、
『Heisenberg補正アルゴリズム』である。
このアルゴリズムの完成によって、物質の分解・再構成を利用した『越次元』が可能になった。
また、このアルゴリズムを応用することで、
攻撃目標の未来位置を99.99999999999999999%の確率(ナインティーン・ナインの確率)で予測することが出来るようになり、
凪は『Aerials』の兵装を目標へ正確に誘導する。
皮肉なことに、このアルゴリズムが完成したことにより、現代物理学では滅びたとされていた『ラプラスの魔』が甦ることになった……
アエリアル
エレメント・オペレーティング・システム
Element Operating System。
略称は『EOS』。
『Aerials』と『生体融合(Bio Fusion)』した凪が起動させる、特殊なOS。
『Daemon's Core』を制御し、機体内外から吸収した各種元素に宿る『精霊』を使役するためには、このOSが必要とされる。
より科学的に説明すると、素粒子物理学における『四つの力』を媒介する粒子である『ゲージ粒子』を、
制御・活用するために必要な装置・機構を制御するソフトウェアらしい。
エレメンタル・ドライバー
Elemental Driver。
『Dominance Manipulator』の搭乗員である『DM Driver』の中で、特に『Elemental Dominance Manipulator』の搭乗員を指す呼称。
文字どおり、『精霊を御する者』の意。
現時点で『Elemental Dominance Manipulator』は『Aerials』唯一機のみであるので、この呼称で呼ばれるのはシンのみである。
『Aerials』の操縦自体は、凪にさえ認められれば誰にでも可能とされているが、
それでもDriver自身の『元素(精霊)との親和性』は重要である。
更にはDriver自身から引き出される『エレメンタル(元素)』の強さにも個人差があり、『Aerials』の戦闘力に影響が出る。
シンがなぜ凪(Futurians)に、『Aerials』のDriverとして選ばれたのかは当初は謎であった。
エレメンタル・ミサイル
Elemental Missile。
対空対地『精霊誘導弾』。
近~長距離で絶大な威力を発揮する、『Aerials』の主要兵装。
両足のふくらはぎに、それぞれ7門ずつの発射管がある。
発射時には、一度機体後方に射出され、その後前方に向かって突き進む。
凪は『EOS』と『Daemon's Core』を介して、
電磁気力を媒介するゲージ粒子『フォトン(光子)』に宿る『光の精霊』を使役して、破壊兵器として利用する。
いわゆる『光子魚雷(Photon Torpedo)』で、命中すると極小ながらも『対消滅』効果を発揮する。
弾頭に宿る『光の精霊』が、目標の『精霊力』を感知して突き進む『精霊誘導(Elemental Homing)』のため、
『Elemental Jammer』以外のジャミングが効かず、ほぼ100%の命中率を誇る。
(加えて、凪はHeisenberg補正アルゴリズムを併用するので、更に命中率が上がっている)。
連続射出も可能だが、ある程度の弾数を放つと、『薬室(チャンバー)』内で次弾を再形成する必要がある。
エーテル・ダガー
Ether Dagger。
『Aerials』の近接白兵戦用の武器。
左右の掌にある発生器から高温の『プラズマ』を放出、『光刃』状に整えて目標を両断する。
光刃の形状は、シンのイメージを汲み取り凪が決める。
名称どおりの『短刀』形から、『剣』、『薙刀』と形状は自由に決められる。
シンが日本人であるからか、『日本刀』に近い形状になることが多い。
『Futurians』が、なぜ『プラズマ』のことを『エーテル』と呼ぶのかは不明。
有機化合物の『エーテル』とは関係はない。
同様の装備が『Sylpheed』にも搭載されている。
アカシック・フィールド
AKASHIC FIELD。
『精霊障壁』と呼ばれる、『Aerials』の防御兵装。
機体の内外から吸収したあらゆる元素をエネルギーに変換して、防御フィールドとして再形成し、あらゆる攻撃を防ぐ。
大気の精霊(シルフ・シルフィード)を使ったエア・バリアーに加え、光の精霊が手を貸すことでレーザーの類も偏光させる。
質量攻撃にも有効だが、慣性中和装置『イナーシャル・キャンセラー』とは別物。
エレメンタル・ジャマー
Elemental Jammer。
直訳すると『精霊力攪拌装置』。
あらゆる元素に宿る『精霊力』を攪拌させて、いわゆる『ジャミング』効果をもたらす装置。
これにより『精霊力』を感知する『SPOOK』の目を眩まし、身を隠すことできる。
また、発射された『精霊誘導弾(Elemental Missile)』を回避するには、この装置を活用することが大前提となる。
使用するには『Daemon's Core』の搭載が必要。
γ-RAY BURST
『ガンマ・レイ・バースト』と読む。
『Aerials』の『戦域制圧兵装』――『マップ兵器』。
超大質量の恒星は一生を終えるときに巨大な超新星と化して爆発を起こすが、その際に形成されるブラックホールから放射されるのが、
宇宙最大の破壊力を持つとされる『荷電粒子の嵐』――『γ-RAY BURST』である。
その『γ-RAY BURST』を兵器として使用する、『Aerials』の荒技。
その方法は、『γ-RAY BURST』の発生要因となる『中性子星』と『矮星』を機体内の複数の『Multiverse(平行宇宙)』に発生させ、
『Universe(現実の宇宙)』に統合させて、『γ-RAY BURST』を引き起こすというものである。
この際『γ-RAY BURST』を照射する『Aerials』は、『γ-RAY BURSTER』と呼ばれる存在になる。
Daemon's Core
直訳すると『悪魔の心臓』。
あらゆる元素に宿るとされる『精霊力』を利用し、『精霊たち』を使役するために必要な、動力源にして反応炉。
詳細な原理は一切不明。
ただ、悪魔が精霊たちの『神髄』を捕らえて、自らの『心臓』に封じ込めた……とだけ言われている。
『SPOOK』が寄り集まって出来た『Nest(巣)』に、文字どおり中枢として存在する。
反物質ドライブ
『Futurians』が使用している、『物質』と『反物質』が衝突した際に起こる『対消滅』現象を利用した動力装置。
質量を完全に(場合によっては200%)エネルギーに変換できるため、
極小の物質からでも膨大なエネルギーを得ることが出来る、非常にエネルギー変換率の高い効率的な動力機関。
登場した当初は不安定で危険な動力であったが、後に安定機構が開発されて、安全なエネルギー源となった。
『Futurians』にとってはすでに実用化から数千年を経た『涸れた』技術であり、その信頼性は非常に高い。
人類の間でも、反物質はスイスのCERN(欧州原子核研究機構)やアメリカのイリノイ州にあるフェルミ国立加速機研究所などの
巨大な粒子加速機の中で確認されており、来世紀中には実用化されるのでは――と言われている実現性の高い技術である。
ウォーターエレメンタル・アズディック
Water Elemental ASDIC。
略称『WE-ASDIC』。
『ウォーターエレメンタル・アスディック』とも。
水中で周辺の『精霊力』を感知するための装置。
水中では水の精霊(Water Elemental)』の支配力が強いため、水中に特化した『探知警戒装置』が必要となる。
(大気中での『風の精霊』の支配力に比べて段違いに強い。これは両者の精霊の性質――性格の差によるものである)
(あらゆる精霊をその身の内に内包する『大気・風の精霊』と違い、水中で『水の精霊』が他の精霊を支配する強さは圧倒的である)
『WE-ASDIC』は、『Daemon's Core』と『Element Operating System』を介して水中を支配する『水の精霊』を使役し、
水中に存在するあらゆる『精霊力』を捜索させるシステムである。
『ASDIC』とは、初期の『ソナー(SONAR-Sound navigation and ranging)』名称である。
第一次世界大戦時における、イギリス海軍の対潜技術の専門家および科学者たちによる委員会 "ASDIC"
(Anti-Submarin Detection Information Comittiee、対潜探知情報委員会)からとられている。
これは『Futurians』の懐古主義に基づく、ジョークと思われる。
エレメンタル・ロード
Elemental Lord。
『精霊王』。
『Daemon's Core』の運転が臨界に近づくと、周辺に発現した『精霊力』が人間の視覚でも視認できるようになる。
通常、この『精霊力』は七色に輝く『オーロラ』のような発光現象として現れるが、
事前に、視認する人間たちに『精霊(Elemental)』との『刷り込み』があった場合、
その個人個人のイメージする『精霊の姿』で現れることもある。
(『ドラゴン(竜)』『フェニックス(鳳凰)』『フェンリル(大狼)』などの場合が多い)。
便宜上、このような『精霊力』の発現・発露を『精霊王が召霊された(Summon Elemental Lord)』と呼ぶ。
パルス・フェイザード・ライフル
Pulses.Phasered.Rifle。
『Normal Dominance Manipulator』――『Sylpheed』の主要兵装。
主に中・近距離での戦闘で威力を発揮する。
『Dominance Manipulator』にとって、人間の歩兵が扱うところの『アサルトライフル(突撃銃)』のような兵器である。
『Phaser』は『位相エネルギー整流作用(PHASed Energy Rectification)』の略称とされており、
『Pulses.Phasered.Rifle』は、通常は『光線』状態で発せられる『Phaser』を『パルス(Pulses)』状態にすることで、
連射性を高めた兵器。
その仕組みは『ナディオン』と呼ばれる、原子間核力を伝達する素粒子の一種を制御することで、
目標対象物を原子レベルに分解し破壊するというもの。
SPOOK
SPOOK
『スプーク』と発音する。
『SPACE PHANTOM of ORGANIC KILLERINSTINCT(スペースファントム・オブ・オーガニック・キラーインスティンクト)』の頭文字をとったもの。
『生物的闘争本能』を持つ『宇宙からの亡霊』――の意で、『海没後』の地球に大量発生している、謎の有機的機械生命体。
地球上に残された、絶滅寸前の人類の天敵。
Queen's Guard
『クィーンズ・ガード』と発音する。
『SPOOK』の女王である『SPOOK Queen』――『LAPLACE』を守護する『近衛兵』的種。
その戦闘力は凶悪であり、軍隊蟻と働き蟻を兼ねる『通常種』とは比較にならない。
LAPLACE
『ラプラス』と発音する。
『SPOOK』の女王的存在であり、それ故に『SPOOK Queen』とも呼ばれる。
女王と呼ばれているが、蜂や蟻のそれのように卵を産んで子孫を増やすわけではなく、
その目的は彼女の覚醒以前に無数に生まれていた『SPOOK』たちを自身の望むように支配することである。
『LAPLACE』の名の由来は、ニュートン物理学(古典物理学)の有名な概念である『ラプラスの魔(悪魔)』からとられた。
その概念とは、原子の位置と運動量を同時に観測できる存在があれば、その存在は全ての未来を予見(確定)出来るというものだが、
量子論の発展(主にハイゼンベルグの不確定性原理)によって、一度は否定された。
しかし、人類の知識と技術の進歩は、その『ハイゼンベルグの不確定性原理』さえも覆すことが可能になったため、
(Heisenberg補正アルゴリズム)『Futurians』の間では『ラプラスの魔』は依然として生きている概念なのである。
つまり『LAPLACE』が覚醒してしまったら、彼女とその眷属たちに寄生された惑星の未来は確定した――という意味なのだ。
Nest
『ネスト』と発音する。
文字どおり『巣』の意で、『SPOOK』の『巣』を指す言葉。
数百~数千匹の無数の『SPOOK』が寄り集まって出来た『蟲塊』。
全長7km以上。
小数の『SPOOK』が寄り集まって出来た『塊』の中心に、いつしか『Daemon's Core』が生じ、
それが発する『精霊力』を求めて更に多くの『SPOOK』を呼び集めて『巣』と化した巨大な物体。
海中で徐々に『成長』し、充分に育ち切ると海面上に浮上、単体の『SPOOK』と同じように『精霊力』を求めて浮遊し始める。
その他
Kraken
『クラーケン』と発音する。
『大融解』後に、その存在が初めて確認された全長10kmにも及ぶ、超巨大海洋生物。
名称の由来は北欧伝承に登場する、『海の魔物』から。
施設
アクアポリス
AQUAPOLICE。
英国出身の大富豪『Sir Spencer Lloydmace』の提唱を受け、地球温暖化による島嶼諸国の海没に備えて建造された、
全長10kmに及ぶ自走式海上アーコロジー。
『ブロック工法』を採用し、また『Lloydmace』がその政治力を駆使して、
敢えて中国や韓国に仕事を奪われていたアメリカや日本他の先進諸国の各造船所に建造を依頼、
建造日数の削減に加えて、莫大な経済効果により落ち込んでいた先進各国のGDPを引き上げることにも成功した。
西暦2030年代の終わり、『惑星高温化現象』によって南極大陸の氷が融解し、
『Isostasy(地殻均衡)』によってマントルの上に浮かんでいた南極大陸は自重を軽くしたことにより隆起。
大地殻変動『大融解』を誘発し、地球上の全ての大陸を海没させた。
『AQUAPOLICE』は、生き残った僅か人類10万人を乗せて水の星を漂う『箱船』となり、
以降、本体部に加えて、同様に生き残った『Kombinat』と『Habbakuk』の2つの巨大海上プラントを
後方に『無理やり』連結させている。
西暦2039年、その『AQUAPOLICE』に凶悪な宇宙外来種『SPOOK』が襲いかかる――
『AQUAPOLICE』がその生産力で養える人口は3万人が限度であるとされ、『大融解』で約7万人の人間を救助した以降は、
常に物資不足に悩まされている。
この結果、元から『AQUAPOLICE』で生活していた市民と、『大融解』後に救助された、いわゆる『救助民』と言われる人々の間で格差が生まれ、
行政機関である『APPO(AQUAPOLICE Political Office)』と、その長である行政庁長官は難しい舵取りを強いられている。
建造計画の中心人物である『Sir Spencer Lloydmace』は、大富豪であると同時に、希代の『変人』として知られている。
彼の曾祖父はまだ航空機の黎明時代に、大西洋の真ん中に人工の島を造り、
当時の航続距離の足りない航空機でアメリカとヨーロッパを繋ぐ計画に熱中していた。
また、彼の祖父は第二次大戦中の『氷山空母ハバクック』建造計画に参加し、重要な役割を担っていた。
そして父親は『AQUAPOLICE』計画を立案し、その実現に生涯を掛けていた。
『Sir Spencer Lloydmace』は、曾祖父、祖父、父親の志を継ぎ、ついに『AQUAPOLICE』を建造させた。
名門にして大富豪である『Lloydmace』家は、一族四代に渡って『人工の島』を海に浮かべるという夢に取り憑かれていたのである。
『Sir Spencer Lloydmace』とその一族の夢は執念の形となって、世界中の人々を巻き込んで行き、
行政庁長官の『オレアナ・エインズレイ』、主人公東郷兄弟の家族、未来や尾身といった友人たちの家族も、全てこの計画に参加した人々である。
大天変地異『大融解』が起こったことで、『AQUAPOLICE』は旧約聖書の『箱船』と同じ存在になり、絶望的な漂泊の日々を送ることになる。
ハバクック
『Habbakuk』。
『AQUAPOLICE』同様に『大融解』を生き残ったメガフロート式の海上浮揚型海軍工廠施設で、
『AQUAPOLICE』の後部に『無理やり』連結されている。
『AQUAPOLICE』ではこの『Habbakuk』の存在によって、護衛艦隊群の保守・メンテナンスが可能になっている。
また、食料、生活必需品、各種ミサイル、砲弾薬をある程度備蓄しているが、
本国からの補給を受けられないために、その備蓄量は『SPOOK』との戦闘で底を突きつつある。
5km×5kmのほぼ正方形をしている。
大型原子力空母が整備できる600m×80m級のドッグが複数ある。
800tの大型ガントリークレーンがある。
約15000名の人員が就労している。
この『Habbakuk』が『大融解』を生き残ってくれたからこそ、『AQUAPOLICE』は『SPOOK』から自身を守ることが出来ている最重要施設。
元々は、アメリカ海軍が保有する『空母打撃群』の世界各地への展開能力を高めるために建造した浮揚式の海軍工廠である。
アメリカは、2000年代に入ってから急速に海軍力を増強してきた中国の周辺地域への影響力に対し脅威を覚えており、
その『封じ込め政策』に基づいて建造された。
この政策は、ハワイ、横須賀を母港とする『空母打撃群』によって、中国を包囲・圧迫するものであったが、
ハワイと横須賀を母港とする『空母打撃群』だけではその包囲力が足りず、もう1群の『空母打撃群』が必要であった。
このため1991年に返還されたフィリピンのスービック海軍基地を再度利用する計画が持ち上がったが、
(年々強まる中国の圧力に苦しんでいたフィリピン政府も、再び自国にアメリカ海軍を迎え入れることを望んでいた)
設備の老巧化が進んでいることと、何より地理的に『中国』に近すぎることで廃案となった。
結局、空母打撃群の母港となる候補地が見つからず、その代案として建造されたのが『Habbakuk』である。
建造後は『大融解』までの間、中国と中東を睨む『オーストラリア』西岸のパースの近くに繋留され、
二代目『ジョン・F・ケネディ(Barack H Obamaの同型艦でCVN-79)』を旗艦とする『空母打撃群』の母港となっていた。
建造費用は莫大な額に昇り、艦船の世代交代に伴うオートメーション化で浮いた人件費を、軽く吹き飛ばした。
『Habbakuk』と言う名称の由来は、第二次大戦中に実在した『氷山空母ハバクック』計画から。
コンビナート
『Kombinat』。
『Habbakuk』と同じく、『AQUAPOLICE』に『無理やり』連結されている、メガフロート方式の石油化学コンビナート施設、リグ。
海底油田の採掘と原油の精製能力を有し、通常動力の護衛艦艇群や航空機に燃料を供給している。
また、石油化学製品、衣料品の工場でもある。
5km×5kmのほぼ正方形をしている。
長大なライザー管により、深度10000m以上の深海の油井からも採油が可能。
元々は、アメリカの大手石油メジャーが建造した、原油の掘削から石油化学製品の製品化までを1個所で行うための海上施設である。
この施設の完成により、石油化学製品を製造する際の輸送コストを軽減させ、価格の安い中国製品に対して競争力を高めることが可能になった。
このため施設内には、共同出資した石油化学製品を造る各種企業のプラント(主にプラスチック製品や衣料品など)が、多数存在する。
『Kombinat』とは通称であり、正式名称は『統合海上石油化学プラント・SEA FRONTIER』であるが、
環境意識の強い『AQUAPOLICE』の住人・関係者からは、やや否定的に『Kombinat』としか呼ばれていない。
『Habbakuk』を上回る20000人近い従業員が働いている。