風吹空太郎は、空を飛びたがっていた。
ある日突然、航空学校からの転校を余儀なくされた空太郎。
そんな彼を待っていたのは、水鳥を卵から育てるという
「生物部」でのまったく新しい日常だった。
新しくやりたいことができると、毎日は充実していく。
仲間たちと協力し、産まれたヒナたちの飼育に奔走する毎日。
慌しくも賑やかな日々の中、彼は今まで気付かなかったある事実を知る。
「この学園に、飛行機部があるだって!?」
一度は諦めたはずの空を、もう一度飛べるかもしれない。
そんな思わぬ状況に、心は大きく揺れ動く。
そして月ヶ瀬まひるが思いつく、「カナダガンと一緒に空を飛ぶ」計画。
仲間と、そして卵から育てた子供たちと共に、もう一度この空を飛べたなら。
それはきっと、何より楽しいに違いない。
親として、まだ小さなカナダガンたちに生きる術を与えるため。
そして何より、自分たちの空への強い憧れのため。
――少年少女と鳥たちの、大空への挑戦が始まる。